浮気の慰謝料の時効は3年?20年?起算点と止め方を解説【2026年】
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浮気(不貞行為)の慰謝料請求権は、「損害と加害者を知った時から3年」または「浮気の時から20年」のどちらか早いほうで時効にかかるとされています(民法724条)。ただし配偶者への請求は、婚姻中と離婚後6か月は時効が完成しないとされ(民法159条)、浮気相手への請求とは期限の考え方が異なります。時効は、内容証明による催告、協議の合意を書面で残すこと、訴訟などで止められる場合があります。期限が近いほど、証拠と相手の情報を早めに準備しておくことが大切です。時効の判断は個別の事情で変わるため、最終的には弁護士などの専門家に確認することを前提にお読みください。
浮気の慰謝料の時効は「知ってから3年」か「浮気から20年」

浮気(不貞行為)の慰謝料は、法律上は不法行為にもとづく損害賠償請求にあたります。そのため、民法724条に定める消滅時効が適用されるとされています。期間は次の2つで、どちらか先に来たほうで時効になる仕組みです。
- 被害者が損害と加害者を知った時から3年
- 不法行為(浮気)の時から20年
なお、時効期間が過ぎても請求権が自動的に消えるわけではありません。相手が「時効なので支払わない」と主張すること(時効の援用)で、初めて請求権が消滅するとされています。
3年の時効と20年の時効の違い
3年の時効は「損害と加害者を知った時」から進みます。20年の期間は、被害者が知っているかどうかに関係なく「浮気があった時」から進みます。そのため、浮気の事実や相手を知らないままでも、20年が経過すると請求できなくなる可能性があります。
20年の期間は、2020年4月施行の民法改正によって、それまでの「除斥期間」から「時効期間」に整理されたとされています。改正前の扱いでは中断や援用の考え方が異なっていたため、施行日より前に20年が経過している場合は、扱いが異なる場合があります。
配偶者への請求は離婚後6か月まで時効が完成しない
民法159条は、夫婦の一方が他方に対して持つ権利について、婚姻の解消から6か月を経過するまでは時効が完成しないと定めています。そのため、婚姻を続けている間に配偶者への慰謝料請求権が時効で消えるケースは限られます。
一方で、この規定は夫婦間の権利に関するものなので、浮気相手への請求には適用されません。配偶者への請求と浮気相手への請求は、時効を別々に数える必要があります。
時効はいつから数える?請求相手・慰謝料の種類別の起算点
時効の起算点(数え始める日)は、「誰に」「どの慰謝料を」請求するかによって変わります。主なパターンを早見表にまとめると次のとおりです。
| 請求の種類 | 起算点 | 期間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 配偶者への不貞慰謝料 | 浮気の事実を知った時 | 3年(浮気から20年) | 婚姻中・離婚後6か月は完成しない |
| 浮気相手への不貞慰謝料 | 浮気の事実と相手を特定した時 | 3年(浮気から20年) | 婚姻中でも時効は進む |
| 離婚慰謝料(配偶者) | 離婚が成立した時 | 3年 | 浮気相手への請求は原則認められない |
表のとおり、浮気相手への請求は婚姻中でも時効が進む点に注意が必要です。起算点は争いになる余地があるため、浮気が発覚した時のメッセージや、相手の氏名・住所がわかった時の記録など、日付が確認できる資料を残しておくと判断の助けになります。
配偶者に請求する場合の起算点
配偶者への不貞慰謝料は、浮気の事実を知った時から3年が原則とされています。ただし、前述の民法159条により婚姻中と離婚後6か月は時効が完成しないため、両方を組み合わせて考える必要があります。たとえば知ってから3年以上経っていても、婚姻中であれば請求できる可能性が残ります。
浮気相手に請求する場合の起算点
浮気相手への請求では、浮気の事実を知ったことに加えて、氏名や住所など請求できる程度に相手を特定した時から3年が進行するとされています。名前しかわからない段階では3年の時効は進まないと考えられています。ただし、20年の期間は浮気の時から進み続ける点に注意が必要です。
離婚慰謝料は離婚成立から3年
浮気が原因で離婚した場合に配偶者へ請求する離婚慰謝料は、離婚が成立した時から3年とされています。なお、2019年の最高裁判例では、浮気相手に離婚慰謝料を請求することは特段の事情がない限り認められないと判断されました。浮気相手には、不貞行為そのものによる慰謝料として請求するのが一般的です。
浮気が長期間続いていた場合の数え方
関係が長く続いていた場合、個々の不貞行為ごとに時効を考える見方があり、古い時期の行為から先に時効が進む場合があります。関係がいつ終わったか、いつ発覚したかによって判断が分かれやすいため、具体的な事情を弁護士に確認することをおすすめします。
5年前・10年前・離婚後は請求できる?ケース別の時効の考え方

ずいぶん前の浮気を最近知った場合でも、今から慰謝料を請求できるのでしょうか。

「いつ知ったか」「相手を特定できたか」「婚姻中か離婚後か」で考え方が変わります。典型的なケースを表で整理します。
| ケース | 配偶者への請求 | 浮気相手への請求 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 5年前の浮気を最近知った | 可能性あり | 可能性あり | 知った時から3年が進む |
| 10年前の浮気を最近知った | 可能性あり | 可能性あり | 20年以内だが証拠が残りにくい |
| 3年以上前に浮気と相手を知っていた | 婚姻中なら可能性あり | 時効の可能性が高い | 相手が援用しなければ消滅しない |
| 2年前に離婚した | 離婚慰謝料は可能性あり | 知ってから3年以内なら可能性あり | 清算条項の有無を確認 |
| 25年前の浮気 | 難しい場合が多い | 難しい場合が多い | 20年経過の扱いは専門家に確認 |
表からわかるように、昔の浮気でも知った時期によっては請求できる可能性があります。ただし、これは一般的な考え方であり、個別の事情で結論が異なる場合があります。
昔の浮気を最近知ったケース
3年の時効は知った時点から進むため、5年前・10年前の浮気でも請求できる可能性があります。ただし、時間が経つほどメッセージや写真などの証拠が残りにくく、立証や相手の特定が難しくなる点には注意が必要です。
浮気を知ってから3年以上経っているケース
浮気相手を特定してから3年以上経っている場合、浮気相手への請求は時効にかかっている可能性が高いと考えられます。一方、婚姻中であれば配偶者への請求は残る場合があります。また、相手が時効を援用しなければ請求権は消滅しないため、交渉の余地が残ることもあります。
すでに離婚しているケース
元配偶者に対しては、不貞慰謝料について離婚後6か月の猶予があり、離婚慰謝料について離婚から3年の期限があります。この2つの期限を分けて整理しておくことが大切です。なお、離婚時の合意書や離婚協議書に「本書に定めるほか債権債務はない」といった清算条項を入れている場合は、時効とは別に追加請求が難しい場合があります。
浮気慰謝料の時効を止める方法|完成猶予と更新の違い
2020年の民法改正により、時効の「中断・停止」は「完成猶予」と「更新」に整理されました。完成猶予は一定期間だけ時効の完成を先延ばしにするもの、更新はそれまでの期間をリセットしてゼロから数え直すものです。主な方法を比較すると次のとおりです。
| 方法 | 効果 | 期間の目安 | 手間・費用感 |
|---|---|---|---|
| 内容証明での催告 | 完成猶予 | 催告から6か月 | 郵送費のみでも可能 |
| 協議を行う旨の合意 | 完成猶予 | 原則1年(通算最長5年) | 相手の同意が必要 |
| 調停・訴訟 | 手続中は猶予、確定で更新 | 確定後は10年 | 申立費用・弁護士費用 |
| 相手の承認 | 更新 | 承認時から数え直し | 相手の協力が必要 |
表のとおり、すぐに取れる手段は催告ですが、効果は一時的です。期間を確実に確保するには調停・訴訟や承認などにつなげる必要があります。
内容証明郵便で請求する(催告)
相手に支払いを求める催告をすると、そこから6か月間は時効の完成が猶予されるとされています(民法150条)。送った日や内容を後から証明できるよう、内容証明郵便を使うのが一般的です。
話し合いの合意を書面で残す(協議を行う旨の合意)
慰謝料について協議を行う旨を書面やメールなどで合意すると、原則1年間時効の完成が猶予されるとされています(民法151条)。再度の合意で延長できますが、本来の時効完成から通算5年を超えられない上限があります。あまり知られていない方法ですが、交渉が長引きそうな場合の選択肢になります。
調停・訴訟を申し立てる
調停や訴訟の手続きが続いている間は時効の完成が猶予され、判決や和解で権利が確定すると時効が更新されるとされています。確定判決などで確定した権利は、時効期間が10年になるとされています。
相手に支払い義務を認めてもらう(承認)
慰謝料の支払い義務を認める発言や書面、一部の支払い、支払いの猶予の依頼などは「承認」にあたり、時効が更新されると解されています。口頭のやり取りは後で争いになりやすいため、書面やメッセージなどの記録で残すことをおすすめします。
時効が迫っているときの進め方と注意点

時効が近い場合は、まず残り期間を確認し、催告で時間を確保してから証拠と相手の情報をそろえるのが基本の流れです。ただし、急いで請求しても証拠が不十分だと、相手に否定されたり証拠を隠されたりするリスクがあります。時効の判断や内容証明の文面、催告後6か月以内の手続きは専門的な判断が必要なため、法律事務所の法律相談などの利用を検討するとよいでしょう。
時効直前に請求するときの手順
浮気を知った日、相手を特定した日、離婚日などを書き出し、いつ時効になるかを確認します。
催告で6か月の猶予を確保します。文面は弁護士に相談すると安心です。
猶予期間中に不貞行為を立証できる証拠と、相手の氏名・住所を確認します。
6か月以内に、示談交渉で進めるか、調停や訴訟を申し立てるかを決めます。
やってはいけない対応
- 催告を繰り返せば期限が延びると考えて放置すること
- 証拠がない状態で問い詰め、相手に警戒されて証拠を消されること
- 相手の自宅や職場に押しかけるなど、名誉毀損や別のトラブルにつながりかねない行動をとること
問い詰めるタイミングについては、証拠がない段階で問い詰めるリスクと準備でも詳しく整理しています。
浮気相手の住所がわからない場合
相手の住所がわからないと、内容証明の送付や訴訟の手続きが進めにくくなります。一般的な選択肢としては、弁護士による照会制度の利用や、探偵による所在調査などがあります。どの手段が使えるかは手がかりの量によって変わるため、状況を整理したうえで相談するとよいでしょう。
時効前に証拠をそろえる|浮気調査と相手特定のタイミング
時効を止めても、慰謝料が認められるには不貞行為を立証できる証拠が必要です。また、浮気相手を特定した時点から3年の時効が進み始めるため、相手の特定と証拠集めは並行して進める考え方が大切になります。

証拠を集めるのは自分でもできそうですが、探偵に頼んだほうがいいのでしょうか。

費用や確実性、相手に気づかれるリスクで向き不向きが変わります。比較の観点を確認してから決めるのがおすすめです。
慰謝料請求で有効とされやすい証拠
一般に有効とされやすいのは、ラブホテルへの出入りを撮影した写真・動画や、肉体関係がうかがえるメッセージのやり取りなどです。単独では弱い証拠(食事の領収書、通話履歴など)も、複数を組み合わせることで判断材料になる場合があります。証拠の種類と集め方は次の記事で確認できます。

探偵に依頼するか自分で集めるかの判断ポイント
比較の観点は、費用、証拠の確実性、相手に気づかれるリスク、調査報告書の使いやすさです。自分で集める場合は費用を抑えやすい一方、相手のスマートフォンに無断でログインする、GPS機器を無断で取り付けるといった行為は違法となるおそれがあります。探偵の調査費用は内容や日数によって幅があり、総額で数十万円程度になることもあるとされています。料金の目安は探偵の浮気調査の料金相場と内訳で確認できます。

- 見積もりは調査費・経費を含めた総額で出ているか
- 延長や追加料金が発生する条件が明記されているか
- 調査報告書に日時・場所・写真がどこまで記載されるか
- 契約前に重要事項の説明と書面の交付があるか
調査費用を慰謝料と一緒に請求できるか
調査費用は、全額が相手に認められるとは限りません。調査の必要性や金額の相当性によって判断される場合があります。詳しくは浮気調査の費用を相手に請求できる条件で解説しています。
時効が過ぎた後にできること・請求された側の対応
時効期間が過ぎても、相手が任意に支払うことは問題ないとされており、援用されるまでは請求権が残ります。また、時効期間の経過後に相手が支払いを約束したり一部を支払ったりすると、信義則上その後の援用が認められないとされる場合があります。
なお、離婚そのものには時効がありません。浮気の慰謝料の時効が過ぎていても、不貞行為を理由に離婚を求めることはできます。ただし、浮気から長い時間が経っている場合や浮気を許したと評価される事情がある場合は、離婚が認められないこともあるとされています。
時効が完成していても交渉の余地があるケース
相手が時効を知らない、または主張しない場合は、支払いを受けられる可能性があります。ただし、相手が弁護士に相談して時効を援用すれば、請求は認められないと考えられます。時効期間が過ぎていることを踏まえ、請求するかどうか、どの程度の条件で合意するかは慎重に判断する必要があります。
慰謝料を請求された側が時効を主張するには
時効の援用は、内容証明郵便などで意思を明確に伝えるのが一般的とされています。うかつに「払います」「少し待ってほしい」と伝えると援用できなくなる場合があるため、回答する前に専門家へ相談することをおすすめします。
浮気の慰謝料の相場と金額に影響する事情
浮気の慰謝料は、一般的な目安として、離婚しない場合は数十万円〜100万円程度、離婚する場合は100万円〜300万円程度とされることが多いようです。ただし、個別の事情によって金額には大きな幅があります。
時効直前の請求でも相場が大きく変わるわけではありませんが、証拠の強さは金額に影響しやすいとされています。高すぎる請求は交渉がまとまりにくく、低すぎると不利な合意になりかねないため、裁判例を踏まえた検討が必要です。
離婚する場合としない場合の違い
婚姻関係が破綻したかどうかによって、精神的損害の評価が変わるとされています。離婚に至った場合は損害が大きいと評価されやすい傾向があります。また、婚姻を続ける場合は、家計が同じ配偶者からではなく浮気相手に請求するケースが多いとされています。
金額が増減しやすい事情
金額に影響しやすい要素として、次のような事情が挙げられます。
- 婚姻期間の長さ
- 浮気の期間・回数
- 子どもの有無
- 発覚後の謝罪や態度
- 浮気相手が既婚者だと知っていたか
このほか、浮気から長い時間が経っていること自体が、金額の評価に影響する場合があるとされています。
よくある質問
- 浮気の慰謝料の時効は何年ですか?
-
浮気と相手を知った時から3年、または浮気の時から20年のどちらか早いほうとされています。配偶者への請求は、婚姻中と離婚後6か月は時効が完成しないとされています。
- 10年前の浮気を最近知った場合でも慰謝料を請求できますか?
-
知った時点から3年が進行するため、請求できる可能性があります。ただし20年の期間内であることが前提で、時間の経過で証拠が不足しやすい点に注意が必要です。
- 浮気相手の名前しかわからない場合、時効は進みますか?
-
請求できる程度に相手を特定するまでは、3年の時効は進まないと考えられています。ただし20年の期間は進むほか、配偶者への請求の時効は別に進む場合があります。
- 内容証明を送れば時効は延びますか?
-
催告から6か月間は時効の完成が猶予されるとされています。催告を繰り返しても延長されないため、6か月以内に調停や訴訟などに進む必要があります。
- 相手と話し合いを続けている間に時効が来てしまうことはありますか?
-
話し合いをしているだけでは、原則として時効は止まらないとされています。協議を行う旨の合意を書面で残すと、原則1年間時効の完成が猶予されるとされています。
- 離婚した後でも元配偶者に慰謝料を請求できますか?
-
離婚慰謝料は、離婚成立から3年以内であれば請求できる可能性があります。離婚時の合意書に清算条項がある場合は追加請求が難しい場合があるため、内容を確認してください。
まとめ
- 浮気の慰謝料の時効は「損害と加害者を知った時から3年」か「浮気の時から20年」の早いほうとされています
- 配偶者への請求は婚姻中と離婚後6か月は時効が完成しませんが、浮気相手への請求は相手を特定した時から3年が進みます
- 時効は催告(6か月)、協議を行う旨の合意(原則1年)、調停・訴訟、相手の承認で止められる場合があります
- 時効を止めても、慰謝料が認められるには不貞行為を立証できる証拠と相手の特定が必要です
- 時効の判断は個別の事情で変わるため、期限が近い場合は早めに弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします
